ある記憶
随分前のこと。
会社帰り、自転車に乗って信号待ちをしていると、同じように自転車に乗った20歳前後の男性が話かけてきた。
「すみません、博多駅にはどう行ったらいいですか?」
上手な日本語だったけれど、日本人ではないのがわかった。
私の家はその場所から博多駅に行くまでの途中にあったので、
「博多駅の近くまで行くので、一緒に行きましょうか。」と答えたらその男性は、
「ありがとうございます。では一緒に行きましょう。」と言った。
二人で並んで自転車を漕ぎながら、私はその人と話をした。彼は中国人で、日本の大学で病気の研究をしているとのことだった。
ちょうどその時期は、中国人がある日本人の一家を惨殺したというニュースが世間を騒がせていた頃だった。彼は言った。
「最近、中国人が日本人の家族を殺した事件があったでしょう?あれは同じ中国人として恥ずかしい。
僕は、日本の人に、中国人がみんなあんな人ばかりと思ってほしくない。
あなたはどう思いますか?」
私は少し考えて、こう答えた。
「・・・確かに、あの事件は悲惨だったと思うけど、私は、中国人だからどう、っていう風には考えなかったな。
だって、殺人を犯すのは中国人だけじゃない。日本人だって、酷い殺人事件を起こす人はいっぱいいる。
そうでしょ?
日本人でも中国人でも、人それぞれであって、中国人だからってひとくくりにはしないよ。
少なくとも私は、あなたが心配しているように思ったりはしていないよ。」
彼は私の言葉を聞いて、小さく、
「・・・ありがとう。そう言ってもらえて、とてもうれしい。」と言った。
家の近くまで着いたので、博多駅への道順を教えて、私たちは別れた。
・・・・・・
先日、日本の救援隊が、中国の大地震の救助に行った。
救援隊と接した中国人の、日本人に対しての先入観が変わったという話を聞く。
中国と日本のわだかまりも、チベットとのことも。全てが少しずつ良くなっていけばいいな~と強く思う。(そんなに簡単なものではないのはわかるけど。)
みんな仲良しが一番。
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コメント
緊急援助隊の派遣で、僕も同じこと思いました。
善意の輸出こそがきっと世界を良くしていくことの一番の方法だ、って。
もちろん、善意を輸出しても裏切られることがあるかもしれない。
でも、裏切られても、諦めず、何度も何度も善意を輸出していけば、きっと世界中が友達のように仲良くなれる日がくる、って。
「そんなのは理想論だ。争いごとは人間の本能。なくならない」といわれるかもしれない。
でも、諦めたら、もっとひどいことになると思う。
自衛隊をインド洋で洋上給油に派遣するより、もっと世界平和のためになることがたくさんあると思う。
投稿: hirobot | 2008年5月26日 (月) 07時07分
*hirobotさん*
そうですね。お金や物資の援助も必要なのかもしれませんが、人と人との触れ合いは、誰もが想像するよりは、実は大切で、何事にも換え難いものなのかもしれません。
インド洋の給油に関しては、いろんな情報があるので、一概に良いとか悪いとか私は言えないんですが、実際に動いている人達の葛藤や様々な想いというのもは、全く私が想像できないものなんだろうな~とは思います。
投稿: nonoka | 2008年6月 9日 (月) 22時26分